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vol.119 松下幸之助 人生をひらく言葉

「和をもって力となる」

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私は、人の組み合わせというものが非常に大事であるということを痛感したことがございます。それからは、人の組み合わせ、いわゆる和をもって力になるということをよく考えました。そして、従業員の配置ということに注意をしてまいりました。これは営業であろうと、製造・開発であろうと、みな一緒であります。人と人の組み合わせがよかったなら、全員の知恵が衆知となって働くわけですね。組み合わせが悪いと熱心にやっておっても、心が不愉快と申しますか、なかなか成果があがらない。

松下幸之助が、

懇意にしていた会社での話です。
その会社は社長、副社長、専務が幹部として経営にあたっていました。三人はそれぞれに有能で熱心な人なのですが、不思議なことに業績があがりません。
そこでその親会社は思い切って副社長を他の系列会社の経営者として転出させ、社長と専務で経営をさせることにしたのです。
するとどうでしょう、二人のコンビが非常な力を発揮して、わずかのあいだにも生産・販売は倍増、赤字決算だったのが黒字となり、立ち直っていきました。
一方、他の会社に転出した副社長も大いにところを得て、目覚ましい成果をあげたのでした。
このような事例を見ての冒頭の言葉なのですが、社員を採用する仕方についても次のように言っています。
「だれも秀才ばかり採用したいと思いますわな。けれど、ほんとうは秀才ばかり採用したら失敗ですよ。必ず喧嘩しよるですよ。だから、秀才一人とあとは鈍才というわけやないけれど、いろいろな人を採用するんです。もっとも、秀才ばかりが一つの会社に寄って来ませんから、自然にそうなっているわけです。それでうまくいっているんです。あんまり一番二番という連中ばかり集めたら、言うこと聞かんし仕事しよらんですよ。仕事しても議論ばかりやって、なかなか事が運ばないですよ」

 物であれば一たす一は必ず二になります。
しかし人間はそれぞれに異なった個性や感情を持った動物です。組み合わせが適切であれば、一たす一が三にも五にもなりうるけれど、反面それを誤ると、ゼロにもマイナスにもなりかねない。
だから人を採用するにしても、配置するにしても、ただ単に一人ひとりの成績なり能力ということだけで判断するのではなく、人の組み合わせということもあわせて考えることが必要だ。
そこがまた人間の妙味のあるところだというわけです。
われわれ人間というものは、他人と互いに知恵を寄せ、協力しあわなければならないと思いながら、どうしてもウマのあわない人もいる。長年多くの人を使って仕事をしてきた体験から生まれた人間に対する一つの洞察と言えましょう。

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松下幸之助氏とは、中村社長が尊敬する人物の一人。
パナソニックの創業者である松下幸之助氏が生前に語られたお言葉は英知と洞察にあふれています。
この特集ページでは、毎号ひとつずつ皆様にご紹介いたします。(PHP出版の書籍より)

【松下幸之助】日本の実業家、発明家。
パナソニック(旧社名:松下電器産業、松下電器製作所、松下電気器具製作所)を一代で築き上げた経営者である。異名は経営の神様。自分と同じく丁稚から身を起こした思想家の石田梅岩に倣い、PHP研究所を設立して倫理教育に乗り出す一方、晩年は松下政経塾を立ち上げ政治家の育成にも意を注いだ。

PHP総合研究所 研究顧問 谷口全平
松下電器の創業者である松下幸之助は、資金も学問もなくしかも病弱。
「徒手空拳」ですらなく、マイナスからの出発であった。
にもかかわらず、かにして成功を収めることができたか?
本書は波瀾に満ちた94年生涯で語られた【人生をひら言葉】を軸に、松下幸之助の信条や経営観、人間としての喜びを解説した。「勝てばよし」がまがり通る今日、「なぜ生きるのか」を問う人生の書である。






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↑PHP研究所公式サイト
幸之助の思想や哲学、これまでの軌跡などがわかりやすくまとまったサイトです。